オフィスの原状回復とは、賃借していたオフィスを解約する際に、賃借人の故意・過失による消耗・毀損を復旧することです。
賃貸オフィスを使用するにあたり、時間の経過と共に価値が低下する「自然消耗」は、仮に賃借人が故意でなく汚したり、傷つけてしまっても経年劣化を考慮して、価値の低下まで負担する義務は賃借人にはありません。 これは賃借契約書の中に原状回復義務が書かれていたとしても適用されます。
しかし、タバコによる壁紙の黄ばみや、通常の使用を超える床・カーペットのすり減りは、賃借人の「過失」となり、経年劣化とは認められず、原状回復義務が発生する事が多く見受けられます。
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原状回復の「原状」とはどのような状態を指すか
退去の際は持ち込んだすべての家具備品と、照明、配線・電気設備、パーティションなど、変更を加えた設備はすべて撤去して、元通りの状態に戻す必要があります。
次に、入居時の壁や床はどのような状態だったでしょうか。壁に装飾をしたり、床の材質を変更している場合は、特別な契約がない限り、退去の際にすべて元に戻す必要があります。
窓サッシの交換や間仕切り壁を設置している場合、元通りにすることは難しいので貸主と相談をしてそのままでよいか、元に戻すかを決めるようにしましょう。
原状回復は誰に頼むか、誰が頼むか
原状回復の工事は、貸主が事業者を指定する場合が多く、その指定事業者に頼むことになります。特に指定事業者が無い場合はオーナー及び管理会社との協議になります。
ただし、費用を支払う賃借人も業者を選定することは可能です。その工事内容が貸主に納得してもらえれば、見積もりを取って安い業者に頼むことができます。
オフィス移転を専門のコンサルティング会社に任せている場合は、これらの交渉もすべて任せることができます。
原状回復工事に取りかかるのは退去してからですが、移転先の契約が成立したあとに、旧オフィスの貸主とトラブルになった場合、移転そのものに影響が出てしまうことがあります。 そのような事態を招かないためにも、早い段階で退去と原状回復について貸主と打ち合わせをしておくようにしましょう。
原状回復、どの費用を、賃借人と貸主のどちらが払うか
・壁紙、床、天井 賃借人の故意・過失による消耗・毀損があった場合は、原則として賃借人が負担
・照明、電話回線、電気配線 賃借人が変更を加えた場合は、原則として賃借人が負担する。
・空調設備、給湯設備 賃借人の故意・過失による消耗・毀損があった場合は、原則として賃貸人が負担する。
・看板やネオン等 賃借人が撤去し、原状回復を負担する。
・窓ガラスや壁のヒビ等 経年劣化の場合は賃貸人、過失があれば賃借人。
・鍵の交換 契約内容による。ほとんどは賃借人が負担する。
まとめ
▲ 「誰が」原状回復をするかが鍵! |
原状回復を行う際の一番のポイントは、誰が業者を選定できるかです。不動産会社の指定業者か、貸主の指定業者か、自社で指定した業者に依頼できるか。 まずは、現状の契約内容の確認から行いましょう。 |