オフィスの照明計画は、業務効率、イメージ構築、固定費(ランニングコスト)など、多方面に関わる重要な案件です。エントランス、執務室、会議室など、オフィス内の役割ごとにコンセプトと具体的な展開を考えます。
CONTENTS
ゾーニング別の照明計画
【エントランス】 照明によって与える印象を優先
玄関ホールや受付ロビーといったエントランスゾーンの照明は、企業イメージの訴求がメインとなります。コーポレートイメージに合わせた印象的な照明計画を行います。ホールの照明は執務エリアより低めの照度に設定して、受付のデスクや社名のロゴ部分にはスポットやウォールウォッシャーを活用して印象づけるなど、イメージ効果のある照明設計を行います。
【執務エリア】 作業時に快適な照明にすることが重要
執務室は、オフィス環境が快適に保たれ、疲労を軽減することを第一に設計します。最適な照明は業務内容によって異なりますので、エリアごとに業務を想定して設計することが効率的で最適なオフィス環境にするためのポイントです。
【会議室エリア】 コミュニケーションの取りやすさがポイント
会議室エリアは、人の顔がはっきり見えて、資料など文書の判読に支障が出ない明るさを選びます。通常会議とプレゼンテーション会議では、要求される環境が異なるので、使用状況に合わせた照明計画を立てましょう。
【多目的エリア】 作業に支障の出ない程度に省エネ・省コストを
バックオフィス、倉庫、廊下などの多目的エリアは、作業に支障が出ない範囲の照度で省エネ・省コストを考えます。
【作業面の推奨照度と照度範囲、作業の例】
※参考文献:照明学会技術指針JIEG-008(2002)
推奨照度[ℓx] | 照度範囲[ℓx] | 作業または行動の例 |
---|---|---|
75 | 50~100 | 車庫・非常階段 |
100 | 75~150 | ごく粗な視作業、時折の短い訪問、倉庫 |
150 | 100~200 | 作業のために連続的に使用しない空間、廊下 |
200 | 150~300 | 粗な視作業、作業のために連続的に使用する空間 |
300 | 200~500 | やや粗な視作業 |
500 | 300~750 | 普通の視作業 |
750 | 500~1000 | やや精密な視作業 |
1000 | 750~1500 | 精密な視作業 |
1500 | 1000~2000 | 非常に精密な視作業 |
固定費削減を目指した照明設計
オフィスの光熱費削減は、月単位で見るとわずかでも、年間を通すとかなりの削減額になります。戦略的な照明計画で電気代削減を目指しましょう。
照明のLED化
照明のLED化は、手軽に導入できるコストカットの手段です。LED照明器具の拡大に伴い、初期費用も抑えられるようになってきました。LED導入時のコストを抑えたい場合には、LED照明のリース契約もあります。
タスク&アンビエント照明による省エネ化
照度の高い部分とそれほど高くない部分を分けて、業務に必要な部分だけ十分な照明を当てるのが、タスク&アンビエント(アンビエント:周辺環境の意味)照明。オフィス全体の光量を抑えつつ、作業にストレスを感じさせない手法です。
見える省エネシステムによる照明の管理
デマンド監視・デマンドコントローラーシステムなど、照明の使用電力状況をチェックして、PCなどで確認できるようにする手法です。作業時の快適な環境を守りながら、無駄な電気代を減らすように監視します。
まとめ
▲ コストを考えつつ照明計画も意識しましょう |
レイアウトの設計に比べて、見た目として分かりにくい部分でもあり、照明は確認が疎かになりがちです。しかしスペースに応じた照明設計が行われていないと、社員のストレスが増加したり、他社からのイメージダウンにも繋がる可能性もあります。 正しい照明の設計を意識して、オフィス移転の専門業者と相談して決めていきましょう。 |